JFDA AWARD

JFDAアワードは協会の設⽴20周年を記念して発足し、

隔年で相手国から受賞者を決定する賞です。

フィンランドと⽇本のデザイン文化を刷新する

優れた創造あるいはデザイン文化の発展、継続に寄与し、

両国の⽂化交流を促進したデザイナー、建築家、功労者を表彰します。

 


第2回 JFDA  AWARD はソフィア・ヤンソン氏が受賞

  2023年4月15日、第2回JFDA AWARDはヘルシンキのオーディ・

ヘルシンキ中央図書館にて授賞式を行いました。

 

ソフィア・ヤンソンさんは、受賞にあたり「本来は私ではなくトーヴェ・ヤンソンが受賞すべき」と話しながらも、6分間のスピーチを行いました。

 

「素晴らしい賞をありがとうございます。日本のパートナーとの協働で、相互にファンタスティックな冒険となる年月を過ごしてきました。

60年代後半と1972年に父のラースとトーヴェが来日した時、今後どのぐらい日本のパートナーと関係が長く続くか、また実りあるものになるかは想像もつきませんでした。しかしとても豊かで、両国に相互の恩恵があり、インスピレーションに満ちたものになりました。ムーミンのキャラクターはよく知られているので、ムーミンを知らない日本人に私は会ったことがありません。みな、「ああ、ムーミン!」と言います。トーヴェが創り出したムーミンは、日本人だけでなくフィンランド人にとっても、真の扉であり入り口となっています。

 

フィンランドセンター25周年、JFDA20周年とのことですね。日本とフィンランドのコミュニケーションは長く続いてきました。

私の日本との出会いは60年代で、叔母のトーヴェの元に日本人のたくさんの芸術家、デザイナー、翻訳家が来てくれて、私たちはフィンランドの諸島で一緒の時間を過ごしました。私が日本人から初めてもらった贈り物の思い出は、小さな折り紙の鳥です。今でも田舎の家に取ってあります。1967年に初めて大型TVアニメが日本で作られ、それからコラボレーションの60年近くが過ぎました。

 

しかし過去を振り返るだけでなく未来を見ることが大事だと思います。建築家や芸術家やデザイナー、フィンランドの著名人は将来、どんな交流ができるでしょうか。私は何年にもわたり観察してきました。日本人は私たちの身の回りの美しいものや存在、細部に注意を払い、信じられないほど細かな視線を注ぎます。それは本当に多くのフィンランド人にも影響しています。私の息子はグラフィックデザイナーですが、知り合いのフィンランド人のグラフィックデザイナーは皆、日本に行ってしばし時間を過ごすことが、やることリストの最優先となってます。というもの、日本に行くと日本のやり方がわかります。私たちの周りはカオスです。でもカオスの中に調和の秩序があり、表現や建築やデザインやさまざまな物事に、アートという意味で表現があります。

 

日本人も同様にフィンランドに来ます。そしてフィンランドに何かを認識します。

ある種のシンプルさがフィンランドにはあります。暮らし方、自然との近さ、そして素晴らしい美しさを発見します。でも、日本人はもっとシンプルな形、文章、シンプルなデザインができます。

 

私の叔母、トーヴェは生まれつきそういう才能がありました。私たちの中で才能のある人は大変まれですが、日本人がしていたのと同様に、彼女には愛でる目がありました。私はこの協働が将来も続くと幸せです。調和と美が世界にもたらされることを願っています。この世界で今起こっていることを思えば、私たちはまだ調和と美がとても必要です。JFDAアワードの受賞には大変恐縮しております。ありがとうございました」

 



2021年5月にJFDA AWARDが創設

 第 1 回の授賞者は、JFDA フィンランドによる審査の上、渡邊大志様(早稲田大学創造理工学部建築学科准教授)に決定し、コロナ禍による諸般の事情から贈呈式は2021年9月21日に東京のフィンランド大使館敷地内の Metsa Pavillion で開催されました。

 緊急事態宣言が発令されている状況での授賞式でしたので、参加ゲストも 13 名と限られ、感染を防ぐための配慮がなされ、渡邊様の展覧会のオープニングと合わせて、会場参加者とオンライン参加者のハイブリッド形式で行われました。

 Pekka Orpana 駐日フィンランド大使のご臨席をいただき、ご挨拶の中でMetsa Pavilion についても触れられ、会場のテーマが「自然、テクノロジー、サステナビリティ」で、フィンランドの木造建築とデザインを代表とする特色がよく生かされていて、授賞式にふさわしい会場でした。(ちなみにこのパビリオンは東京オリンピックを記念して建設されたもので、建材は全てフィンランドから輸入されました。オリンピック終了後建物は解体され今は見ることができません)

 

 渡邊様からはご自身の展覧会「ひとつなぎの建築」の説明がなされました。2019 年にサバティカルで 1 年間ヘルシンキのアールト大学で過ごされた中で考察し、まとめられた内容が展示されていました。この展覧会は東京を皮切りに、ヘルシンキ、ベルリン、ワイマールでの巡回展が行われました。

(写真はプレゼンターのフィンランドセンター所長アンナ=マリヤ・ウィルヤネン様から渡邊様へ賞状が伝達されるところです)