イベント報告

フィンランドの建築家ヤーッコ・トルヴィネン氏とのオンラインミーティングを経て「メッツァの夏至祭」のデザイン案が確定しました。

コッコの点火セレモニー会場に心地よい居場所を創ることを目指します。具体的には、ヤーッコ・トルヴィネン氏が設計したヘルシンキの「リトル・フィンランディア」の原木の柱をモチーフに、原木のバーカウンター、原木のスツール、そして原木のキャンドルホルダーを制作します。

原木のバーカウンターは、夏至の日にひしゃくの柄が南を指し示すという北斗七星の形を描き出します。

6/15の夜のコッコに間に合うように、6/14、15の2日間で、(株)西川フォレストの部材制作・施工協力の下、ヤーッコ・トルヴィネン氏と工学院大学鈴木敏彦(協会理事)研究室の学生さんたちで組み上げて、点火セレモニー会場を設えます。      


6/10(月)ショートレクチャー
「最近のフィンランドの建築デザインについて、特に木造建築の潮流」
2024年6月10日(月)19時~20時30分
Impact Hub Kyoto 3階ホールにて
講師:ヤーッコ・トルヴィネン氏
   (アアルト大学ウッドプログラム講師)
通訳:サンポ・クオッカネン氏

【開催レポート】 岩井吉彌先生『「森のなかに未来を見る」シリーズ①ー 山村に住む、ある森林学者が考えたこと 』

◎山の手入れができていないと、洪水が起こりやすい
我々人間社会は森からいろいろな恩恵を受けています。最近、私が非常に懸念するのは、日本のあちこちで洪水が起こり、川の氾濫が頻発していることです。もちろん、環境の変化が大きな原因だと思いますけれども、それに付け加えたいのが山の荒廃です。森が健全であれば、土砂が流れ出るのを防ぎ、緑のダムの機能を果たすわけですけれども、今、森が荒れてしまっている。

例えばスギやヒノキの林は、日本の森林の約40%を占め、比較的人里に近いところに植林されているのですが、植えっ放しにしておくと、どんどん密になって、葉っぱ同士が重なってくる。そうすると、日光が入らなくなって、草も生えてこない。
雨が降っても、草があると、根っこが張っているから土壌が流れにくいわけですが、草がないと表土がどんどん流れてしまう。しかも、真っ暗なところには動物も住みにくい。例えば、ミミズがいなくなると、土壌の中の空隙が少なくなって、雨水が吸収されずに谷川に流れていく。同時に土砂が一緒に流れるから、過去と同じ雨量でも、河川に出てくる水量はものすごく水位が高くなって、簡単に洪水になるわけです。

密になった山の豪雨の跡に行ってみると、木の根っこがいっぱい表に出てきている。それだけ下流に土砂が流れてしまっている。5年ほど前でしたか、嵐山の料理旅館が水浸しになった。あの川の上流に私の山があって、そこからどんどん土砂が流れ込んで渡月橋あたりに堆積する。川底が上がってくるわけです。大きな石は流れずに途中で止まって、そこに砂利などがどんどんたまる。あのあたりは今も川底の浚渫(しゅんせつ)工事をやっています。
京都市に流れている鴨川とか桂川の上流は、全部森林地帯です。山が荒れると、鴨川の河床も、桂川の河床もどんどん上がって、洪水の危険度はどんどん上がってくる。これは京都市だけではなく、日本全国で起こっているゆゆしき問題です。

こうなるのは、山の手入れができていないからです。間伐をしてやると、葉っぱの間から日光が入ってくる。日光が入ると、下層植生して、草や小さい木がいっぱい生えてきて、土壌が流れないように根っこで縛りつけるわけですが、こういう手入れが、京都の山だけでなく、日本全体ができていない。
これは、山林所有者が木材生産をする気がなくなってきたからです。今から40年か50年前にスギの木を植えた時は、まだ林業の採算が成り立つと思って植林し、手入れもある程度してきたのが、この20~30年ぐらい前から、こんな手入れをしてもあかんわという状況になってきた。

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Impact Hub Kyoto 開催レポート